
初めての公演で
山浦 薫
ここで私が言う「色」とは雰囲気のこと、もしくは特徴とでも言いましょうか。
例えば、歌舞伎、現代演劇、どこかの発表会。どんな舞台にも「色」があります。
見つけると理解したつもりになれる便利なものです。
初めて能楽を鑑賞したとき、「色」をどこから拾えばいいのかわかりませんでした。
人はたくさんいるけれど、背景は無い、大道具もほぼ無い。
あるのは美しい衣装と松と竹の絵、そしてうまく聞き取れない謡(セリフ)。
正直なところ、どこに注目して自分はどうすればよいのか、さっぱりわかりませんでした。
「色」が発見できない。 そうなれば、理解するために自分で色々想像するしかありません。
手元の台本、原作となった文学作品や過去に目を通した資料集等、演目に関連している知識を総動員させました。 そうすると、舞台上の場面が想像できるようになってきました。
そして、だんだんとシテ(主人公)の思いが感じられるようになってきて……。
「色」が発見できない。 ということは、自分でその色をつくれるということなのだと感じました。
自分で「色」をつくれる。ということは、きっと会場内の雰囲気をつくるのは演じる方だけではないということなのでしょう。
いかに想像力をはたらかせることができるかで、舞台の印象は180°変わるのでしょうね。
舞台上の世界と自分の世界。 両方が入り混じった不思議な「色」に魅せられて、能楽堂へ通うようになりました。