開催宣言

 2008年から公演が始まった能楽事始も今回で第五回公演を迎えます。
同年代の方にもっと能楽を知ってもらいたい、という当初の思いは変わらず、
これまでの公演でも多くの方に能楽との出会いをお届けして参りました。
そして今回も、当公演がみなさまと能楽との架け橋になれることを大変嬉しく存じます。

 「架け橋」とは不思議な言葉で、とある二つを結ぶものは全て「架け橋」と称することが出来ます。
舞台と人、人と人、すでに持つ知識と新しい発見。
他にもたくさんありますが、これらすべてを結ぶことができれば、新たな世界がひろがっていくことでしょう。
そうした見知らぬものとの出会いが、私たちを成長させていくのだと思います。

 「ここから、ひろがる」。これが第五回公演のキーワードです。
この言葉の示すように、この公演から新たな出会いがひろがることを祈っております。

     第五回 能楽事始運営委員会委員長 山浦薫

過去の公演

 第1回

 公演概要

 主催: 能楽事始運営委員会
 共催; 友枝昭世の会、日本経済新聞社
 日程: 2008年3月13日(木)
 時間: 17時開場 18時開演
 場 所:  国立能楽堂
 演 目: 対談解説、狂言「萩大名」、能「隅田川」
 当 番:
 対談解説 都留文科大学・鳥居明雄教授 能楽事始運営委員会委員 武岡暢
 狂言「萩大名」
 シテ   野村 萬
 アド   野村扇丞
 小アド  野村万蔵
 能「隅田川」
 シテ   友枝昭世
 子方   井上大風
 ワキ   宝生 閑
 ワキツレ 大日方寛
 笛    松田弘之
 子鼓   曽和正博
 大鼓   柿原崇志
 後見   中村邦生  友枝雄人
 地謡   金子敬一郎 粟谷明生
      狩野了一  粟谷能夫
      長島茂   香川靖嗣
      内田成信  出雲康雅

 あらすじ
 狂言「萩大名」
 長い京暮らしに退屈しきった田舎大名が、下京にある庭園の萩が盛りだと聞き、見物に行くことに。
 だが、この庭の亭主は花見客に必ず即興で和歌を詠ませるという。
 無風流で和歌などまるで詠めぬ大名は、家来の太郎冠者に和歌を作らせ、
 思い出すための合図まで示し合わせて出掛けた。
 しかし、庭に着いた大名は様々な 失言を重ねた上に、肝心の和歌もすっかり忘れてしまい…

 能「隅田川」
 わが子をさらわれた悲しみのあまり心を乱した女が、失った子を捜し求めて、京より至ったのは隅田川。
 渡し舟の上で、女は、去年の今日この川岸で亡くなった哀 れな幼子の話を聞いた。
 その幼子こそわが子であることに気付く女は、
 事情を知った渡し守に連れられて、わが子の墓前で念仏を唱える。
 すると、女の前にわが 子の幻が…



 第2回

 日程: 2008年11月12日(水曜日)
 時間: 17時開場 18時開演
 場所: 宝生能楽堂
 演目: 解説、狂言蝸牛」、能「清経」
 主催: 能楽事始運営委員会
 共催: 友枝昭世の会、日本経済新聞社
 当番:
 解説
     演目解説 都留文科大学教授 鳥居明雄
     型の解説 金子敬一郎
 狂言「蝸牛」
 シテ   野村 萬
 アド   野村扇丞
 小アド  野村万蔵
 笛    一噌仙幸
 小鼓   曽和正博
 大鼓   国川 純
 能「清経」
 シテ   友枝昭世
 シテツレ 内田成信
 ワキ   宝生 閑
 笛    一噌仙幸
 小鼓   曽和正博
 大鼓   国川 純
 後見   中村邦生  友枝雄人
   地謡   佐々木多門 長島 茂
      狩野了一  出雲康雅
      金子敬一郎 粟谷能夫
      粟谷充雄  粟谷明生

 あらすじ:
 狂言「蝸牛」
 長寿の祖父を持つ主人が「長生きに効く」という噂を聞いて、
 太郎冠者に蝸牛( かたつむり) 取りを命じた。
 「藪におり、頭が黒く、腰に貝を付けて、時々は角を出し、大きいものは人ぐらいになる」
 と教えられた太郎冠者は、藪に寝ていた山伏を蝸牛と取り違え、山伏に乗せられて浮かれてしまう。
 迎えにきた主人に言われていったんは正気を取り戻すが…

 能「清経」
 源平の騒乱のさなか、戦いに敗れた平清経が豊前国柳ヶ浦で入水した。
 京に残っていた妻のもとに夫の家臣が遺髪を持って訪れ、清経の入水を告げる。
 妻は悲しみ のあまり遺髪をつき返してしまい、悲嘆のうちにいつしか眠りに落ちる。
 と、夢枕に清経の亡霊があらわれ、遺髪を突き返したことを責める。
 自分を残して勝手 に入水した清経の非情を嘆く妻に、
 清経は死を決意するに至った経緯を語り始めた。



 第3回

 日程: 2009年6月16日(火曜日)
 時間: 17時開場 18時開演
 場所: 宝生能楽堂
 演目: 解説、狂言「文荷」、能「半蔀」
 主催:能楽事始運営委員会
 共催:友枝昭世の会、日本経済新聞社
 当番:
 対談解説
      都留文科大学 鳥居明雄教授
      能楽事始運営委員会委員 秋田貴之
 狂言「文荷」
 シテ   野村 萬
 アド   野村扇丞
 小アド  野村万蔵
 能「半蔀」
 シテ   友枝昭世
 ワキ   宝生 閑
 アイ   野村万蔵
 笛    一噌仙幸
 小鼓   曽和正博
 大鼓   柿原崇志
 後見   長島 茂 狩野了一
 地謡  大島輝久 中村邦生
     金子敬一郎 出雲康雅
     友枝雄人 粟谷能夫
     内田成信 粟谷明生

 あらすじ:
 狂言「文荷」
 主人の恋文を届けに行く太郎冠者と次郎冠者は、交互に持ったり、
 竹に結び付けて二人で荷ったり、恋の文は重いと言って、能「恋重荷」の一節を謡う。
 ついに、道で座り込んだ二人は、文を開き奪い合って読むうちに引き裂いてしまう。
 ちぎれた文を扇であおぎ、
 「風の便りに届け」と小歌を謡っているところへ主人が来て、二人を叱る。

 能「半蔀」
 花の供養をする僧のもとに、一人の女が現れ夕顔の花を手向ける。
 女は、五条辺りの者とだけ言い残して消えうせるが、
 里の者から光源氏と夕顔の君の恋物語を聞き、
 女が夕顔の霊だと悟った僧が五条辺りを訪ねると、
 半蔀に夕顔の花が咲く寂しげな家が昔のままの姿で佇んでいた。
 夕顔の霊は半蔀から姿を現し、光源氏との恋の思い出を語り、舞を舞う。
 しかし、夜明けとともに霊はまた半蔀の中に消え去り、僧の夢となってしまった。



 第4回
 日程: 2009年12月16日(水曜日)
 時間: 17時30分開場 18時30分開会 19時開演
 場所: 国立能楽堂
  演目: 解説、狂言「箕被」、能「葵上」
 主催:能楽事始運営委員会
  共催:友枝昭世の会
  当番:
  狂言「箕被
  シテ   野村 萬
  アド    野村万蔵
  後見   吉住 講
  能「葵上
  シテ   友枝昭世
  ワキ    宝生 閑
  ワキツレ 大日方 寛
  アイ    野村扇丞
  笛     松田弘之
  小鼓   鵜澤洋太郎
  大鼓   亀井広忠
  太鼓   観世元伯
  後見   中村邦生 井上真也
  地謡    粟谷能夫 粟谷明生
       長島 茂 狩野了一
       金子敬一郎 内田成信
       粟谷浩之 大島輝久

  あらすじ:
  狂言「箕被」
  趣味の連歌に没頭する夫が、連歌の会を催す当番となり、その準備を妻に申し付ける。
  生活苦を顧みず、盛大に客をもてなそうとする夫に、
  堪忍袋の緒が切れた妻は、連歌を続けるならば離縁すると言う。
  夫は連歌を諦めきれず、その申し出を聞き入れる。
  離縁の印として受け取った箕を被り、家を出て行く妻。
  その寂しげな後姿を見た夫が、ふと発句すると、妻が巧みに返歌をした。
  妻の歌心を知った夫は、これからは夫婦で連歌を詠んで暮らそうと、妻を呼び戻す。

  能「葵上」
  光源氏の正妻・葵上に取り憑いている物の怪の正体を明らかにするために、
  女が口寄せをしたところ、源氏の愛人・六条御息所の生霊が破れ車に乗って現れた。
  かつての栄華を思い、源氏の愛を失ったことへの怨みから、葵上を打ち据える怨霊。
  果ては、深い嘆きのあまり葵上を連れ去ろうとする。
  急ぎ駆けつけた行者が祈祷を始めると、怨霊は鬼女となって行者に迫った。
  激しい争いの末、行者の法力が御息所の嫉妬の心を鎮め、ついに怨霊は成仏していく。